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【そのサイン、見逃していませんか?―職場のメンタルヘルスを守る小さな習慣】

 

ストレスや不安は、誰にとっても身近なものです。
先日、精神科医の Dr. Simon Senner 氏による「職場のメンタルヘルス」に関する講義を受ける機会がありました。

Dr. Senner 氏は、ドイツ・ミュンヘンにあるTUM(ミュンヘン工科大学)附属大学病院で上級医師として勤務されたのち、現在はドイツ・コンスタンツで社会精神医学部門の責任者を務めておられます。うつ・不安・燃え尽き症候群といったストレス関連疾患を専門に、企業向けのメンタルヘルスアドバイザーや講師としても幅広く活動されています。この活動の中で、医学生や警察官への教育に加え、任天堂・ロシュ・バイエルン州立銀行など多くの国内外企業で、「メンタルヘルスと健全なリーダーシップ」に関するワークショップも実施されています。

世界中で起きている「話せない」問題

この講義で印象的だったのは、世界の精神的な問題を抱える人のうち、75%は支援を求めていない、専門家に相談していないという実情でした。日本でもメンタルヘルスは深刻な問題となっており、2023年の調査では*82.7%の労働者が「強い不安やストレスを感じている」と回答しています。

原因はさまざまです:

⚫︎ チーム内のコミュニケーション不足
⚫︎ 過重な業務

⚫︎ リモートワークによる孤独感

日々の疲労や不安は、気づかないうちに積み重なり、やがてバーンアウトやうつ状態につながることもあります。「ただのストレス」と軽く見ず、深刻になる前に声をかけ合うことの大切さを改めて感じました。

 

小さな変化に気づけていますか?

リクルーターとして転職理由を伺う中で、ストレスや過重労働に関する相談は非常に多いと実感しています。 たとえば「最近表情が暗いな」「作業がいつもより遅いかも」と感じたら、それは怠けではなく心のSOSかもしれません

また日本では「ゆとり世代」や「GenZ世代」という世代での括りがあり、誤解されがちですが、丁寧な対話を通じて本音や力を引き出せる場面も多くあると感じます。 メンタルヘルスは個人だけの問題ではなく、チームの生産性や組織の持続可能性にも関わる重要なテーマです。

 

組織としてできること

職場では、以下のような仕組みと風土づくりが求められます:

⚫︎ 月1回以上の1on1やカジュアルなチェックイン

⚫︎ 復職者への丁寧なフォロー

⚫︎ 専門家や産業医の存在を周知し、気軽に相談できる環境づくり

 

Dr. Senner 氏も、「オープンに話せる雰囲気づくり」の重要性を強調されており、講義内ではマネージャー向けに対話スキルのトレーニングも行われました。
ただし、これはマネージャーだけの役割ではありません。すべてのメンバーが日々の小さな変化に気づき、声をかけ合う姿勢が組織全体の安心感につながります。

 

私たち Cogs はフルリモートの組織で、チームメンバーは世界各国に滞在しており、常にバーチャル環境で働いています。その中で、週に2回の定例ミーティングを設けており、特に月曜朝のミーティングは「週末何をして過ごしたか」というコーヒーブレイクのような時間から始まります。

海外にいるからこそ、それぞれが体験したちょっとした出来事を共有することも多いですが、必ずしも特別な話である必要はありません。「週末はひたすら寝ていた」「食あたりになってしまった」といった素直な近況も、気兼ねなく共有できる空気があります。

 

私自身は学業との両立もしているため、こうした会話をきっかけにマネージャーから個別に体調を気遣うフォローアップをいただくこともあります。
また、この時間は、チームメンバーの誰かが困っていないかをさりげなく察知する、重要なきっかけにもなっていると感じています。

 

今日からできること

夏休み前で忙しい時期かもしれませんが、エレベーターを待つ時間や、コーヒーマシン前での雑談など、ほんの少しのコミュニケーションから始めてみませんか?
そして、自分自身の状態も大切にしてください。

 

⚫︎ 週末はできるだけ仕事から距離を置く
⚫︎ 自分なりのストレス発散法を見つける

こうした小さな習慣が、自分のエネルギーを守り、チームの雰囲気にも良い影響をもたらしてくれると感じています。

 

同僚の Saaya からは、彼女のパートナーが勤める企業では社内にセラピストが常駐し、社員が日常的に相談しているという話もありました。さらに、パートナーも利用できる制度が整っていたことで、家庭全体として安心できる環境があったとも話してくれました。
これからの企業には、従業員だけでなくその家族まで視野に入れた、よりオープンで柔軟なメンタルサポート体制が求められていくのかもしれません。

 

*データ出典:日本生命 新社会人のための経済学コラム 「強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は8割以上」(2024/10/10)

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