「日本の”おもてなし”サービスは世界トップクラス。でもオンラインサービスは?」
日本といえば「サービスの質の高さ」で知られています。駅やお店、ホテルやレストランに行けば、スタッフは丁寧で気配りが行き届き、しっかりとしたトレーニングを受けています。スムーズで、細かなところまでちゃんと配慮されている。まさに世界のお手本と言えるでしょう。
でも、デジタルの世界になると少し違います。予約や支払い、ウェブサイトの利用など、分かりにくかったり不便に感じる場面が少なくありません。特に海外のプラットフォームと比べると、その差がはっきり見えてしまうことも。
この“おもてなし”サービスは世界トップクラス、でもオンラインは…”というギャップについては、デザインやプロダクトに携わる人たちとの会話の中でもよく話題に上がります。
求職者からよく聞く共通パターン
Cogsは、海外の企業とも国内のチームとも仕事をしています。そのなかで、デザイナーやリサーチャー、プロダクト関連の専門家など、幅広い業界の求職者と話す機会があります。
彼らの声からは、日本のオンラインサービスが国際的な水準に比べて遅れを感じさせる背景が見えてきます。
⚫︎トップダウンの意思決定
日本企業には古くから年功序列や縦社会の文化が根付いており、年齢や勤続年数がスキルよりも優先される傾向がある。そのため、オンラインサービスの企画は、デジタルネイティブなユーザーと日常的に接点の少ないシニア層が主導することが多く、現場感覚や利用者目線が十分に活かされにくい。
⚫︎社内優先の進め方
プロジェクトの進行は社内調整に多くの時間とエネルギーが割かれ、実際のユーザーテストや改善は後回しになりがち。そのため、サービスのリリースや改善が遅れる。
⚫︎デザインへの理解・知識
ユーザー体験が「サービス全体の設計」ではなく「見た目のデザイン」として扱われるケースがあり、完成度や一貫性が十分に確保されない。
⚫︎ベンダー依存の開発
多くの企業はいまだにバックエンド開発に強いITベンダーへ頼る傾向がある。その一方で、UXやサービスデザインの経験が十分でないケースが多い。
こうした要因が積み重なり、日本のオンラインサービスが海外のプラットフォームとのギャップを生む結果になっているのです。
人材のあり方をどう変えるか
海外の組織では、役割がはっきりし、プロダクトにしっかり関与する専任のUXチームが存在するのが一般的です。一方で、日本の伝統的な組織においては、デザイナーがUXやUI、リサーチ、さらにはフロントエンド開発まで幅広く担うことも珍しくありません。
そのため、日本のオンラインサービスが遅れを感じさせる背景には、スキルの問題だけではなく、組織の構造の違いもあります。
実際、求職者からは次のような声も聞かれます。
「もっとUXデザインを中心とした仕事をしたいと思っても、今の会社の中ではなかなか実現しにくいです。」
変わり始める現場
そのような中で最近では私たちの目から見ても、新しい取り組みを始める企業が増えてきていることを実感します。例えば:
○ フィンテックやモビリティ、ヘルステックのスタートアップ業界での、デジタルサービスの革新
○ メルカリのような日本発祥のEC企業での、世界レベルのプロダクトデザイン
○ 一部の大手企業にて経験豊富なデジタルリーダーをデザインパートナーとして迎え入る新しい採用戦略
上記はまだ序盤ではあるものの、前向きな兆しが見えています。
これからの日本のデジタル化に必要な視点
日本には、細やかな配慮や心配りといった大きな強みがあります。こうした日本特有の価値観をデジタルプラットフォームに反映できれば、ユーザーにとっても企業にとっても新たな価値を生み出せるでしょう。
私たちはリクルーティングパートナーとしてチームづくりを支援する中で、この変化がすでに芽生えつつあるのを実感しています。日本企業にとってデジタル体験への投資とは、単なるツールやシステムの導入ではありません。”おもてなしサービス”で培ってきた日本らしい卓越性を、オンラインの世界でも発揮できるチームを築くことが、今後の最重要課題となるのです。
 
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