あらためてグローバルカンパニーで働くということ
日本に拠点を置くグローバル企業で働くということは、伝統的な日本の労働文化と、国際的なビジネススタイルが融合した職場環境で働くことを意味します。現在グローバル企業で働く方、またはこれから転職を考えている方に向けて、両者の文化の違いとそれにうまく適応するための方法について考えてみましょう。
2つのワーキングカルチャーの共存
日本の企業文化は、伝統的にヒエラルキー型であり、手順や手続きを重視します。一方で、グローバル企業では、フラットな組織構造や成果主義が重視されます。この2つの文化が交じり合う環境では、両者のバランスを取るための柔軟性が求められます。
意思決定プロセス
日本の企業における意思決定は、一般的に「根回し」や集団的な合意を重視する傾向があります。これに対し、外資系企業では個人や役割に基づいた知見を重視し、プロジェクトチーム内での迅速な意思決定が重視されます。会議などは外資系では15分、30分単位の短く簡潔なものが多いですが、限られた時間の中でアジェンダを解決する判断力と、会議への貢献が求められます。とはいえ、プロジェクト自体が国際化する今、双方のスタイルが融合する場も多くみられます。いずれにしてもプロジェクトで、またその会議で自分に何が求められているかを正しく把握し、チームに貢献することが大切です。
ワークライフバランス
働き方改革により、日本の企業でも長時間労働が減少し、フレキシブルな働き方が普及しています。コロナ禍を経て、どの企業でもリモートワークやフレックスタイムの導入が進んでおり、ワークライフバランスに極端な違いは少なくなっています。ただし、依然として、日本企業は福利厚生のメニューが優れていることが多く、逆にヨーロッパ系のグローバル企業では長期休暇制度が充実していることが多いようです。
コミュニケーションスタイル
日本語のコミュニケーションはしばしば間接的であり、相手の気持ちを尊重するための配慮が見られます。しかし、英語でのコミュニケーションでは、明確かつ直接的な表現が求められるため、日本的な間接的表現が誤解を招くことがあります。異なる文化背景を理解し、適切なコミュニケーションスタイルを身につけることが重要です。つまり、真の意味でのバイリンガル、バイカルカルチャーを実践することが必要です。
プロフェッショナルな成長
日本企業では、長年の勤続や社内ネットワーキングを通じたキャリア成長が一般的です。一方で、外資系企業では、プロアクティブにキャリアパスや昇進を主張することが奨励されます。最近では、日本企業でも1on1ミーティングや人事とのコミュニケーションを通じて、よりボトムアップなキャリア構築が進んでいます。
多文化への理解
リモートワークの普及により、外資系企業ではより多様な文化的背景を持つチームメンバーと働く機会が増えています。多文化混成チームにおいては、異なる価値観や働き方に対する理解と柔軟性が求められます。グローバルな職場で成功するためには、他者を尊重し、異文化を受け入れる姿勢が必要です。このプロセスには、日本には良い意味での職業倫理や慣習、またローカルクライアント側にある独自のカルチャーを、ローカル以外のスタッフにも理解し、尊重してもらう過程ももちろん含みます。