【2025年 日本のデジタルエージェンシー & コンサルティング市場:標準給与レンジと採用トレンド】
過去12ヶ月で、日本国内のエージェンシーおよびコンサルティング市場には大きな変化が見られました。
Cogs Japan のチームは今年外資系エージェンシー、コンサルティング企業、エージェンシー兼コンサルティングクリエイティブ企業に所属する約2,000名のプロフェッショナルと面談を行っています。
その知見をもとに、現在のマーケット動向をまとめました。
1. マーケット全体の動向
今年、事業成長に不可欠な重要ポジションでは、採用に数ヶ月〜1年以上かかるケースが発生しています。
特に外資系企業の日本オフィスでは、意思決定に時間がかかる傾向が強まっています。予算やヘッドカウントの承認プロセスが長期化し、全体的に慎重な採用姿勢が見られます。
一方で、現在採用を進めている企業にとっては、優秀な人材を確保しやすくなっている側面もあります。(コロナ収束後は採用競争が加熱したため)
2. 採用ニーズの変化
最も大きな変化は、サービスデザインやデータ分析といった専門職の減少です。
2023〜2024年にかけて専任採用が進んでいた領域ですが、今年はUX/UIやプロダクトポジションにその機能が吸収されつつあります。
分析職の減少も顕著です。エンタープライズ向けツールの普及が進み、マーケティング、EC、プロダクトチームが自らインサイトを生成できるようになり、企業の外部依存が減っているためです。
また企業のAI戦略が未確立な場合でも、多くの求人でAI活用スキルが必須あるいは歓迎条件として記載されるようになりました。
自動化やアイデア生成、データ分析など、AIツールを使いこなすことが期待されています。
3.給与水準の傾向
給与水準全体は大きく変動していませんが、テック企業(特に米国系)との格差は依然として大きい状況です。
同じ職種でも、ボーナスやストックオプションまで含めると、テック系は50〜100%高い給与となることもあります。
デジタルエージェンシーとコンサルティングファームを比較すると、
- 基本給:ほぼ同等
- 総支給額:コンサルティングは上記に追加でボーナスが付与される傾向
- マネージャー職:ボーナス10〜20%
- ディレクター職:ボーナス20〜40%
一方、デジタルエージェンシーはボーナスが低かったり、変動が大きかったりするため、報酬体系が読みづらい面があります。
ただし、働き方・カルチャーは大きく異なり、エージェンシーはスピード感とクリエイティビティ、コンサル企業は構造化されたプロセスを重視するなど特徴があります。
4.転職希望者の動向
2025年は、転職希望者の姿勢がより慎重になっています。
2024年は価値観や企業理念の共感が重要視されましたが、今年は安定性・給与額が優先される傾向が一段と強まっています。
柔軟な働き方は依然と支持されていますが、主要な決定要因ではなくなり、「週2〜3日の出社であれば問題ない」と考える方が増えています。
また、外国籍人材の応募は依然として増加傾向です。しかし、日本市場の経験や語学面でのハードルがあり、英語スキルのみで応募できるポジションの競争は激化しています。一方で、日本市場に精通した日英バイリンガル人材は依然として不足しており、企業からの需要は非常に高いままです。
5.採用企業が意識すべきポイント
⚫︎ 意思決定スピードを上げること:遅いほど優秀な人材が離れます
⚫︎ 給与水準レンジをよく比較すること:テック・コンサル企業の給与を基準に考える転職希望者が増加
⚫︎ 透明性のある情報提供:キャリアパスやカルチャーを具体的に説明すること
6. 転職希望者が意識すべきポイント
⚫︎ 選考期間の長期化に備える
⚫︎ 横断的なハイブリッドスキルを強みに(UX/UI・プロダクト・AI活用など)
⚫︎ 成果を数値で語る準備をすること:特にテック転職では必須
まとめ
日本のエージェンシー/コンサル市場は慎重ムードが続いています。
ただ、求人数が減少している今でも、デジタル・クリエイティブ・バイリンガル人材の需要は非常に高い状況です。
いずれにせよ、意思決定を迅速に進められる企業が優秀な人材を確保しやすいことは間違いないと言えるでしょう。
Cogsは、クリエイティブマインドセットを身につけた人材と、グローバルなキャリア成長の機会をつなげるエグゼクティブ・サーチと人材紹介を専門とするエージェンシーです。
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